板橋ビューネ2013劇評

 

・水牛健太郎

・よこたたかお

 

板橋ビューネ2013の劇評企画において、劇評を書いてくださったお二方の劇評の全文を以下に掲載いたします。 

 

 

板橋ビューネ実行委員会

以下、水牛健太郎氏。

・ドクトペッパズ「ヒュブリス」

メアリー・シェリーの有名な「フランケンシュタイン」をもとにした作品。死体をつなぎ合わせることで怪物を創造するという発想をモチーフに舞台化しているようだ。(…)

 

・M.M.S.T「カラマーゾフの兄弟」

ドストエフスキーによる有名な小説をモチーフにした作品。全体に静謐な雰囲気が漂い、心地よい緊張感のある舞台だった。(…)

 

・ヘアピン倶楽部「SUNDAY PEOPLE」

原案は岸田國士「紙風船」とされているが、当日パンフにもあるように、「紙風船」とはまったく違う話になっている。「紙風船」の名残は、舞台上のちゃぶ台に置かれた1つの紙風船だけである。(…)

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・NUDO「紙風船」

岸田國士の「紙風船」を夫・菊川仁史、妻・佐藤和紅、千枝子・双山あずさで上演した。最初から三人舞台に出ており、背中合わせに三角形を作ってセリフを口にする。(…)

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・劇団総合藝術会議「【J.A.Strindberg】の害について」

チェーホフの「煙草の害について」の学者の講演という形式を借り、スウェーデンの劇作家ストリンドベリの生涯と主な作品について解説を加えながら、戯曲の一場面を4人の俳優が演じた。(…)

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・長堀博物館◎プロデュース5「ヘッダ・ガブラー」

イプセンの名作を取り上げた。椅子を三つとその間に小さな卓を二つ、直線に置いた。基本的にすべての場面が その直線状の空間の中で演じられる。(…)

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・三木美智代in風蝕異人街「桜の園」

私はこれまでの人生のほとんどをカネがない人間として過ごしてきたため、「金持ちはちょっと変」という気持ちが強い。そんな私にとって、「桜の園」のラネーフスカヤ夫人は「変な金持ち」の代表みたいなものである。(…)

※小劇場劇評サイトワンダーランドへ飛びます。

 

・雲の劇団雨蛙「財産没収」

テネシー・ウィリアムズの「財産没収」は、線路の土手の上を歩いてく る少女と少年が出会って交わす会話で構成された二人芝居だ。(…)

 

・総括

板橋ビューネは今回が第1回ということで、仕方がないのかもしれないが、客席はややさびしかった。運営面でも、(…)

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以下、よこたたかお氏。

 0.

 この劇評を読まれるに当たって、いくつか断っておかなければならないことがある。

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 1.

 2013年8月27日から9月4日の9日間にかけて行われた板橋ビューネには、4都市8団体の劇団が参加した。

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 2.

 議論の呼び水として最適なのは、劇団総合藝術会議の『【J.A. Strindberg】の害について』である。

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 3.

 「演出家」という職能自体は、19世紀初期から既に存在していた。もしかしたらそれは、17世紀フランスにおいて、ルイ十四世を「演出家」の起源としてもいいかもしれない。

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 4.

 キリスト教的世界という同様のモチーフを扱いながらも、作品創造のプロセスにおいて真逆の立場を取ったのが、劇団ドクトペッパズである。

 

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 5.

 三木美智代が主宰する(こしばきこうからの交代)風蝕異人街がチェーホフの『桜の園』を一人芝居にして上演した。

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 6.

 残る4つの作品については、二つずつ扱いながら論じていきたい。岸田國士『紙風船』を劇団ヘアピン倶楽部とNUDOが扱い、同時上演された。

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 7.

 最後に紹介するのは、長堀博物館『ヘッダ・ガプラー』と雲の劇団雨蛙『財産没収』である。

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 8.

 「古典」の上演を銘打ったはずの演劇祭の「散文への回帰」。それは逆説的であると共に、21世紀的な展望も示しているのではないだろうか。

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