板橋ビューネ2016テーマ:ナンセンス

 

「ナンセンス」はアナーキズムである。知的な遊戯であり、くだらないお喋りであり、子供向けの駄洒落である。

 

「ナンセンス」はレジスタンスである。消費社会の中に潜む悪意あるいたずらであり、政治家に読み解くことのできない暗号である。

“貧困”の二文字が目の前にちらついてきた2010年代。経済大国だった日本の生産力は下降線をたどり、為政者たちの手で私達の労働環境は悪化していく一方である。“現実”はそこらじゅうに転がっているというのに、政治家・実業家たちは“美しい日本”をプロパガンダしている。

 

中世からルネッサンスにかけて、偉大な文学者たちは政治・経済的に窮屈な時代に、暗号を用いて政治家を批判し、市民を味方につけた。ユーモアやアイロニーを用いて、生きづらい世の中で生きる術を市民に与えた。

文化や芸術に触れる余裕のない、こんな時代だからこそ、ユーモアの中の悪意を、“正論”の中でレジスタンスするレトリックが求められているのではないだろうか。

 

板橋ビューネ実行委員会